私たちの思い
クレームやトラブルが
お客様とのパイプを太くする
今野昭広
「頼まれると嫌と言えない性分」ゆえ、20年以上に渡って地域の少年野球を指導。高校生になった”教え子”たちが、甲子園で活躍してくれることを期待し、「その時は会社を休ませてもらわないと」と笑う。 趣味は月一回のゴルフと、息子夫婦との小旅行。
※所属営業所、役職、年数等は取材当時のもののため、現在は変更になっている可能性があります。
原材料調達から生産、販売に至るまでの効率的な物流を計画・実行・管理するのがロジスティックス事業部だ。
その課長と川口営業所の所長を兼務する今野昭広は入社18年目となる中央株式会社の重鎮である。
入社して最初に担当したお客様がいまだに取引を続けてくれているという今野に、彼が実践してきた同社の経営理念「アウトソー信グ」の神髄を尋ねてみた。
予定通りにはいかない仕事 すぐ動いて対処する
「ピンチはチャンス、と昔から言いますよね。ミスやクレームは無いにこしたことはありませんが、起きたとしても、ネガティブに捉えることはしません。すぐ動いて対処すればいい。誠意は伝わるし、知恵を絞れば、新しいアイディアもできます。その経験が成長の肥やしになるんです」
と今野は、自分を育ててくれたお客様とともに困難を乗り越えた経験を振り返る。
「入社2週間目に担当したお客様も、つい数年前まで続いていました。時代の流れで規模を縮小せざるを得ず、弊社とのお付合いも卒業されましたが、私は最後のあいさつにも伺い、お礼を言わせていただきました。あのお客様も、私や弊社が、ノーミスのすごい会社だから続いたわけではないんです。物流は、予定外のことがつきものの環境。こちらが真剣に対処して、力を合わせて乗り越えた経験が、絆を深めてくれた。そういう意味では、ピンチこそが、お客様との絆を深めてくれるのです」
揺るぎない信念
川口営業所は、同社の起点となった営業所。
社員たちの多くは、今野の下で鍛えられ、巣立って行ったという。
いわば今野は、中央株式会社の後進に、
「より良いコミュニケーション(交信)を心掛け相互(お客様・当社・社員)が信用・信頼できる関係を築き自信の持てるアウトソーシングサービスをお客様に提供致します」という企業理念を、身を持って伝える教師的存在だ。
入社18年、1年目に担当したお客様と現在も堅い絆
今野が考える「アウトソー信グ」は、「お客様とのパイプを太くすること」だ。
「弊社の仕事は、お客様の業績に連動しています。お客様が伸びれば弊社も伸びる。私の経験から言わせてもらうと、一緒に伸びて行くときは、一緒に問題解決したり効率化したりができたときなのです」
まさに「ウィンウィンな関係」を実感しながら、今野は長年、この仕事に携わってきたのである。
なかでも印象に残っているのは入社1年目、最初に担当した某アクセサリーメーカーのアウトソーシングを引き受けたときの体験だ。
「うちで引き受ける前は、先方のスタッフが8~9人、製造工場へ毎週水曜日の朝早く
出かけて行き、2日間かけて一気に作業していたそうなんです。それを全部うちへ移す
ことになったのですが、発行してもらわなければならない伝票が800枚以上もあり、先
方には火曜日の深夜から作業に入ってもらわなければ、こちらはスケジュール的にど
うしても間に合わないことが分かりました。必死にお願いしたら、じゃあやりましょ
うと。徹夜で対応してもらえたので助かりました」
しかし、得意先の社員に毎週徹夜を強いるのは忍びない。
「それで今度は、伝票の発行もうちでできるよう、頼み込んで先方からすべてのデータ
をもらって手分けして入力し、以降は徹夜してもらわなくても大丈夫なように改善し
ました。時間のないところでの作業でしたから、何人でやればどれくらいの時間で終
われるかとか、数字的なモノをできるだけ正確に把握して、その上でひとり一人にノ
ルマを課して、頑張ってもらったのです」
今なら、データの移行はそれほど大変な作業ではないが、システムもノウハウも定ま
っていない20年近く前には、綱渡り的な作業だったのだ。
「あのときはお客様にも社内にもずいぶん頭を下げました。お客様に頑張ってもらっ
たら、報いないわけには行かないと、パートさんにも相当助けてもらったのが忘れら
れません」熱意と誠意は先方にも伝わっているのだろう。そのお客様は現在も、中央
株式会社の上得意として継続している。「徹夜してくれた社員さんは、今も弊社との
パイプ役を担ってくださっています。単なる得意先ではなく、需要なパートナーとして
診てもらっているように思います。これこそが、うちのめざすところなのではないでし
ょうか」